◎平成22年3月26日 第13回全国高等学校選抜少林寺拳法大会「少林寺拳法連盟本部にて」

 平成22年3月26日(金)から28日(日)にかけて、香川県多度津町の(財)少林寺拳法連盟本部において、第13回全国高等学校選抜少林寺拳法大会が開催されました。今回の大会は新しい種目が加わり参加人数も増え、193校・838名の選手の参加によって行われました。
 27日の開会式では、全国高校連盟副理事長 伊勢崎一郎 様による開会宣言、優勝杯返還に続き、大会会長挨拶が行われ、4月より全国高等学校体育連盟加盟の報告と、「大会テーマには相手を思いやる精神を養うという願いがこめられている。この願いを実践できるような大会にしてほしい」と瀧上文雄全国高校連盟会長は述べられた。続いて名誉副大会長挨拶として多度津町長 小國宏 様より祝辞をいただいた。その後、大野木憲三審判委員長より審査説明が行われ、続いて、埼玉県川越東高校の清水遼太選手により選手宣誓が行われました。
 開会式終了後、そのまま弁論の部が発表された。「この時代に、私はどう生きるか」・「私にとって平和とは」・「少林寺拳法が私に与えたもの」・「高校生にとって部活動の意義」という4つのテーマを設定し、各県の選考会を経て代表者が審査され、さらに全国の審査により最終的に6名が選出された。6名とも素晴らしい内容で、発表の態度も素晴らしく、会場の選手は聞き入っていました。
 発表後に宗由貴少林寺拳法グループ総裁による講評が行われ、「人が人としてたくましく生き、人に多くの幸せを与えるような生き方をしてほしい。人は多くの人に支えられていることを感じ、自分の可能性を信じることが出来れば、命を大切にすることができるし、自分を変えることができる。少林寺拳法が手助けになることを願っている」と述べられた。
 午後からは各会場に分かれて予選が行われ、どのコートでも迫力のある演武が行われた。予選終了後には、学生連盟によるアピールとして2組の演武が披露され、大学生らしい力強い演武が行われた。続いて、禅林学園の生徒によるアピールも行われ、高校生らしい清々しいアピールが行われました。その後予選通過者が発表され、2日目の日程が終了した。
 大会3日目は本選からスタートした。予選以上に緊迫感があり、正確さ・迫力どれをとっても素晴らしい演武が続いた。本選が終了し、昼食をはさんで、総評として演武講習会が行われた。講習会では他校の生徒と一緒に練習し、大会とはまた違い、笑顔も多く見られた。
 その後閉会式に移り、成績発表が行われました。表彰式では日々の努力が結果となり涙を見せる選手も多かった。また、それを称える拍手も素晴らしく、この大会のテーマである「あい親しみ あい楽しむ」を多くの選手は達成できたようだった。続いて実行委員長挨拶として、伊東茂治高校連盟理事長から大会が成功に終わることへの謝辞が述べられ、中島正樹高校連盟副理事長による閉会宣言により、3日間の日程を終えた。

大会成績 【PDF

〜あい親しみ あい楽しむ〜
弁論大会 優勝 少林寺拳法が私に与えたもの
               東海大第三高校 糀  大地 拳士
 私は筋肉がつかない病気です。普通の人は体を鍛えて筋肉をつけるのですが、私の場合軽い運動で現状を維持することが精いっぱいなのです。そのため激しい動きのものや速い動きの技は私にはできません。けれども、少林寺拳法部に入部したことを決して後悔していません。前向きな思考だと思う人もいるのではないでしょうか。しかし、入部した時はそうではありませんでした。
 私が日本武道に興味を持ったのは、私が中学一年の時です。アテネ五輪の柔道がきっかけでした。連覇を達成した選手、制限時間の二秒前で一本を取った選手。それからを観て私は、日本武道全体に憧れました。「あきらめない」という願いが込められている気がしたからです。
 私の通学していた中学校には部活にブドウはなかったので高校に進学したら絶対にやろうと思っていました。しかし、現実は私に大きな障害をぶつけてきました。高校に進学する前に医者から筋肉に病気があると宣告されてしまったのです。過度なスポーツは避けるべきだと言われたのです。武道もその対象でした。高校に進学し、中学生活の時に参加できなかった部活に入りたい、武術をやりたいと思っていました。そのため医者から宣告された時は、病気を恨みました。悔しい思いでいっぱいでした。高校に入学して半年間、私は文系の部活に入ってすごしました。けれども充実感はありませんでした。最後は、武道をやりたい思いを抑えきれず、少林寺拳法部の門をたたきました。しかし、先輩や部に迷惑をかけないか不安でした。
 私を変えたのは、昇級試験の時です。先生から少林寺拳法の読本を頂いて読んだ時一節の言葉に勇気をもらいました。「自己の可能性を信じる生き方ができる人間」という言葉です。とくに「自己の可能性を信じる生き方」というところに開祖の願いが込められていると思いました。病気を持つ私にも可能があるという希望が湧いてきました。私は試験に向けて努力しました。他の仲間には簡単にできる技も私にはすぐにはできませんでした。しかし、できる希望を持ち続け、私は体と相談しながら何回も練習しました。私は決してあきらめませんでした。自分にできないものはないと信じたからです。開祖の言葉が心の中でいき続けている限り、私には不可能はありません。だから私は昇級試験に合格できたと思います。
 現在私は体の調子が良い時は稽古に出ています。出られる日数は少ないですが、悔んでいません。仲間の支えがあるからです。私は、この仲間と共に稽古をやり、仲間とともに自分自身に「自信と勇気」を育んでいきたいと思います。今の私は、大切な仲間に出会えた喜びと仲間と稽古ができる喜び、この二つの喜びをかみしめています。人を大切にする心を育み、明るい未来を創造したいです。
 
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